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「その時」がTシャツに刻まれる T-shirt is Media.

02 坂田真彦 Archive& Style 代表 MASAHIKO SAKATA


時代の変遷とTシャツのあり方

Tシャツを意識して買うようになったのは、’80年代ですね。当時は大阪のアメ村によくブートのTシャツが売っていたんです。DCブームだったので綺麗な格好をしている人と、Tシャツに「リーバイス_®」の501を履いているような人たちが混在していて、面白いなと思っていたんです。そんな時にスーパーモデルのフォトTシャツが出てきて、それも本物なのかブートなのかもわからない状態だったんですけど、僕がちょうど東京へ出てきた頃に「アニエス・ベー」がブルーズ・ウェバーのフォトTシャツを出していて、それが格好良くてTシャツって良いなと思うようになりました。

制限のある中から、自己表現する面白さ

Tシャツ=メッセージというところで考えると、キャラクターTシャツやミュージシャンのTシャツなどもそれを着ることが自分の主張だったりもするじゃないですか。その中で僕はユニフォームで与えられた軍モノのTシャツが好きなんです。紹介するこのTシャツは、エアーフォース(空軍)の’60年代のものなのですが、誰かが勝手に自分で後からプリントをしているんです。ニューヨークのヴィンテージショーで買ったんですけど、学生服を着ていた時に、みんなと同じは嫌で何か自分で手を加えてみる……そんな感じで作ったのではないかな。このTシャツを作った人はシャレが効いていていい。僕は、始めからメッセージ性のあるものではなく、ユニフォーム性や枠組みがある中で、自己表現や個性を出したものの方が好きなんですね。

アメリカでは、ボート部など大学のクラブに入っていた学生たちが卒業をする時に自分が着ていた服にみんなが寄せ書きをしたジャケットがヴィンテージで出てきたりします。ミリタリーでは、A-2の革ジャンに女の人の絵が描かれていたり、落とした爆弾の数が描かれたジャケットまであるんですが、それと同じ絵が戦闘機のコックピットにも描かれていたりするんですね。パイロットにとっては誰にも見えない生きるか死ぬかの世界で、きっと自分だけの世界を作り上げたのではないかと思うんですよ。

“その時だけ”しか表現できないものが目の前にあると、僕はファッションの面白さを感じるんです。モードやストリートを越えて、1人のユーザーとしてファッションに向き合えた時こそ、とても嬉しいですね。


坂田真彦 Archive& Style 代表

1970年和歌山県生まれ。高校卒業と同時に上京し、バンタンデザイン研究所に入学。卒業後 、いくつかのコレクションブランドを渡り歩く。 04年にはデザインスタジオ「アーカイブ&スタイル」を設立し、06年から13年までは青山でヴィンテージショップのオーナーでもあった。現在は、複数の人気ブランドのディレクションを手掛ける。国内外問わず、オリジナルの生地開発からプロダクトデザイン、空間ディレクションまで幅広く活躍中。

(写真 八木伸司 / 文 吉岡加奈)

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