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1枚で終わりから始まりに繋がる T-shirt is Media.

05 荒木克記 「THE DAWN B」Designer Katsuki Araki

古着のボディに宿す。

テーマは「暮らしの覚醒」

太宰府天満宮が紅葉で色づく手前の10月中旬。日中はTシャツ1枚でも暖かく、夜になると少し肌寒くなるくらいの季節に、SASQUATCHfabrix.というブランドのデザイナーをしていた荒木さんの事務所を訪れた。荒木さんは、2011年に東京から福岡県太宰府に拠点を移して、3.11以降の日本においての「暮らしの覚醒」というテーマを掲げて立ち上げて"THE DAWN B"というプロジェクトで活動している。

事務所には、大きな松ぼっくりなど自然のオブジェや様々な植物が封入されたキャンドルに囲まれて、色とりどりの古着のボディに「終劇」と前面に書かれたTシャツがダンボールに積み重なっていた。

「2013年に友人が作っているBlack WeirdosというブランドのTHE END & DIEと書かれたポケTを展示会で見て、インパクトあるな~と思うのと同時に、自分の好みだったので個人発注するものの、届いても外出では着られなかった。というのは、バットテイスト過ぎて、これを着てる時にもし事故とかに遭ったら、洒落にならんな……と思った瞬間があったから。それで、後ろに“夜明け”という文字を入れたら調和になるかなと思って。何故かそういう事ばかり考えていた時期だったし。それから本家に企画を持込んで完成しました」

これを着て街を歩いてると、強烈な奴が来たなと思うかもしれないけれど、背中は「夜明」と書かれているから、救われたり、希望を持てたり、ニヤリというか、見た人それぞれに問答が湧き出て、個人的な気付きに至るような気がする。答えは背中を見てから、とも言える。たった1枚のTシャツで、終わりから始まりに繋がるものを表現しているのは、ストーリーがあって面白いなと思った。

しかし、ボディを古着にしたのは何でだろう。

Tシャツは世界も時空も

飛び越えて着ることができる

「こういう時代の自然な流れ、意思表明です。世の中にいっぱいTシャツがあるし、もうこれ以上作らなくてもいいし。まだ、使えるでしょ。物の価値の転換期にフィットできたプリントTシャツだと思います」

荒木さんは、「Tシャツは宣伝用のキャンバス。若しくは、自己顕示欲をいい感じにまとめてくれるファッションアイテム」だと言う。宗教、スポーツ、学校、企業などからのメッセージTの古着をあえてボディとして選び、何層にも重なるコンテクストによって生まれたTシャツは、洋服よりも自分のことを表現しやすいのかもしれない。


「『AKIRA』や『MADMAX』、『北斗の拳』が象徴するような、ボロボロになっていくほどかっこいいという男の美学、世界観にマッチしている。それに、ヨレヨレにしていっても着こなせるものだと思う」

終劇Tシャツは、今年の6月に五本木にオープンしたスピリチュアルファッションサロン森羅万象LANTIKI CENTRAAAAALなどで販売している。今やストリート雑誌の表紙にスタイリングされていたり、某俳優も愛着していたり、カルト的な人気があるのもマッチョな世界観と退廃的なムードが現代にそぐうのかもしれない。終末論や世紀末思想はいつの時代もあるが、今後の東京、日本、世界が実際にそうならないように平和を祈るしかないな、と思わされた太宰府訪問の旅でした。

荒木克記

「THE DAWN B」デザイナー。SASQUATCHfabrix.のデザイナーを経て、福岡「まほろばの里 太宰府」で暮らしのプロダクトを展開中。ハンドメイドキャンドルやDaze'nHazeの洋服など、人と地球に優しいものづくりに励んでいる。

(写真 加藤潤 / 文 藤岡茜)

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