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Tシャツ=作業着である T-shirt is Media.

06 田附勝 Photographer Masaru Tatsuki

I AM WHAT I DRIVE.

俺が夢中になったこと

煌びやかなイルミネーションが街を彩る12月末日。人工的な灯りに人間が吸い寄せられている。外灯に群がる虫や漁灯に集まるイカ、赤提灯やネオン街に誘われる人間のように、光に集まる習性は、生きものたちの動物的本能なのかもしれない。そんな光の中でも、絢爛豪華な極彩色に装飾されたデコトラに魅了された写真家がいた。

田附は約20年前に所属していたスタジオとカメラアシスタントを辞めたばかりの頃、工事現場やオフィスなどへコピー機を配送するバイトも兼ねていた。そこで知り合ったドライバーがアート・トラック専門誌『カミオン』を愛読していて、こういう人たちを撮影したら面白いなと思い撮り始めたのがきっかけだと言う。

それから9年間、地方のサービスエリアで出くわすトラックやドライバーを目掛けて、全国津々浦々ひたすら撮影しまくったそうだ。後の2007年には『DECOTORA』という写真集を出し、デコトラマニアをはじめ、ファッション層などの他方面からも熱い支持を得ている。

これは2008年にユニクロから出たTシャツで、森山大道さんなどの写真家達が参加したアーティストTという企画で作られたそうだ。

「千葉出身銚子出身、龍虎丸の宮内龍二さんのデコトラで、たくさんの仲間から慕われている兄貴的な存在の人。彼のポリシーや行灯に描かれたメッセージに、意味があるわけよ。自分が背負うべきものや奮い立たせるような文句を言語として車体に入れていたりもするから。仕事に対して責任感を持っていて、Tシャツを着るやつもそういう気持ちになってくれたら面白いなって思う。奥さんや子供とか大切な人の名前を入れてる人もいるしね」

そもそもTシャツって

どんなもの?

「Tシャツ?ワークマン的なものじゃないの。だからこそ、労働者たちが着ているTシャツって面白い。その人なりのシミができたり、ヨレても着続けられる気軽なものだから。このユニクロのは、白と黒の2色、確か1,500円くらいで売られていたかな。デコトラ部分がラバープリントだから着心地悪くて全然着ていないけど(笑)。龍虎丸のメンバーにも撮影のギャラ代わりに20枚くらいあげたら喜んでくれてたよ。彼らもお揃いのTシャツを作ってるし。みんな組織に入らず個人で仕事しているから、仕事の譲り合いや助け合いをして集まっている。宮内さんの魅力は、仲間を想いやる配慮が素晴らしいんだよね」
「数年デコトラを追いかけていると、次第に撮りたい車が出てくる。俺はなるべくその人のホームタウンで撮影することをポリシーにしているんだけど、秋田県の人で、『明日、うちでバーベキューするから撮り来いよ』って連絡が来て。いきなり明日かよ、と思ったけど、車でガンガン走って行った。早く着いたから男鹿半島にある、なまはげ館に行ったんだよ。そこで出会った人に、大晦日に行われているなまはげ行事を撮らせてもらったの。それを『東北』という写真集にも載せたり、こんな出会いをきっかけに全国各所のドライバーと関係を保てた。おかげで今でも仲良くしてもらってる。撮影していて思うのは、『試されてるな』ってこと。写真家って行動が勝負だから。デコトラを撮影し続けた9年間でどういう風に人間関係を潤滑にしていかなければならないかをよく学んだよ。亡くなったドライバーの家族の方から写真を焼いてほしいと言われたこともあった。大きく引き伸ばした写真を渡したらすごく喜んでくれたから、カメラマンをやっていて良かったな、と思った。写真の本来の目的って、そういう意味だから」


田附勝

デコトラから猟師や漁師まで、日本の土着的なものや人を追い続ける写真家。2011年「東北」で第37 回木村伊兵衛写真賞を受賞。アメリカに住む親友の田丸君とsuper booksというレーベルで本や帽子も作っている。

(写真 加藤潤 / 文 藤岡茜)

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