COLUMN コラム

COLUMN

Tシャツがフェスそのものを体現する T-shirt is Media.

07 坂口修一郎 Double Famous/ Landscape Products/BAGN Shuichiro Sakaguchi

良き隣人であれ

GOOD NEIGHBORSとは

”良き隣人であれ”。英語で、GOOD NEIGHBORS。この言葉そのものが、イベント名となったのは、編集者の岡本仁さんとの些細な会話がきっかけだったと思います。

10年近く前、僕は故郷の鹿児島に仕事を作りたいなと思っていて、自分の居場所が作れるイベントを作ろうと準備を始めていた。地方都市は東京と比べると仕事の量も種類も少ない。でも故郷で椅子取りゲームをする気もなかったので、椅子ごともっていこうかな、と。それで岡本さんに、友人らと一緒に故郷を盛り上げる、そんな個人的な想いが繋がって輪になる場作りができたら、と話したんです。

そうしたら、「それって“GOOD NEIGHBORS”だね」と。さらに「そもそも僕らは家は選べるけれど隣人は選べない。だから、まずは自分が“良き隣人”にならないといけない」という“Be a good neighbor(良き隣人であれ)”という精神まで教えられたんです。それで、『グッドネイバーズ・ジャンボリー』というイベント名が決まった。

タイトルにも込められているように、このイベントが他の野外フェスと最も違うところは、一方通行でないことです。

たとえステージがあっても、そのステージを見ている側に多くの出演者や関係者がいる。来場者の多くが、何かしらのカタチでイベントに関わっているケースが多くて、それがクラフトワークショップの講師だったり、ボルダリングウォールを作って子どもたちに教えているスタッフであったり。でもこれは、ただ出店者が多いイベント、というわけでもないんです。

特徴的なものといえば、館内放送は毎年、子どもアナウンサーによって運営されています。小学生までは無料で参加できて、「子どもアナウンサー3年目の◯◯です。来年は中学受験がんばります」みたいなしゃべり出しに来場者がクスっとなるのはよくある光景なんです。たしかに子どもの来場者が多かったり、子どもたちが退屈しないようにという狙いもありましたけど、子どもたちも大人と同等に巻き込んでいきたかったんです。それで地元の放送局のアナウンサーにきてもらって、子どもたちにはしゃべり方のレクチャーを受けてもらうんです。親御さんは放送ブースには入れないというルールもあったり、本気で取り組んでもらうので。

あとはもうひとつ。これも名物になっていますが、当日楽器を持ってきたらその場で即興の演奏に参加できる「みんなでつくるグッドネイバーズ・マーチング・バンド」というプログラムがあって、年齢性別問わず、楽器の種類もなんでもOK。いまや100人規模の参加者で大行進するようになりました。

フェスそのものを体現する

オフィシャルTシャツのデザイン

『グッドネイバーズ・ジャンボリー』のスタッフTシャツ兼オフィシャルTシャツは、カレッジTシャツがモチーフになっています。開催場所が廃校の「かわなべ森の学校」であることもそうですけど、今話してきたとおり、僕らのイベントは単なるフェスティバルというよりも、文化祭のような、みなで場を作っていくことを目指して作ったものだからです。

今年で8年目、8回目を終えました。不思議と、回を重ねるごとに、このTシャツのデザインに込めた想いが、内容とリンクするようになってきたんですね。


坂口修一郎

音楽家/プランニング・ディレクター
Double Famous / BAGN Inc.代表

1971年鹿児島生まれ。1993年無国籍楽団ダブルフェイマスを結成。音楽活動の一方2004年代官山UNITの設立に参加。2010年より鹿児島でクロスカルチャーな野外イベントGOOD NEIGHBORS JAMBOREEを主宰している。東日本大震災後には緊急支援で来日したジェーン・バーキンのサポートバンドをオーガナイズしワールドツアーに同行した。現在はディレクションカンパニーBAGN Inc.(BE A GOOD NEIGHBOR)代表を務め、ジャンルを越境/横断しながら多数のプロジェクト手がけている。著作として「ぼくらの岡山案内」(岡本仁と共著)がある。

(写真 八木伸司 / 文 村松亮)

LATEST ENTRIES

「Tシャツはメディアである」 岡本 仁
「「その時」がTシャツに刻まれる」 坂田真彦
「Tシャツがコミュニティと人を繋ぐ」 桑原健太郎
「Tシャツは名刺代わりになる」 岡部文彦
「1枚で終わりから始まりに繋がる」 荒木克記
「Tシャツ=作業着である」 田附勝
「Tシャツがフェスそのものを体現する」 坂口修一郎