COLUMN コラム

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変なTシャツを着こなす、それは筋トレに近い T-shirt is Media.

08 シトウレイ STYLE from TOKYO photographer Rei Shito


10年間、ストリートスナップを

撮り続けてきた理由

私がフィールドワークのように変なTシャツを集め始めたのは、『STYLE from TOKYO』をスタートさせた10年くらい前だったと思います。 「お金を払って買いたくない、むしろお金をもらってでも着たくないTシャツをあえて買う、着こなす」、それがなんか面白いんじゃないかって。そこはもうシンプルに。そんな理由から集め始めたんです。実際に街中でスナップの撮影していると、変なTシャツを着ている人に出会うことはあります。つい、ツッコミたくなるんです。「なんで、そんなTシャツ着ているの?」って。Tシャツって、コミュニケーション・ツールになるんだって自覚はなのでありましたね。これ誰が着るんだろ? ってTシャツをなに食わぬ顔でサラッと着こなす。そんな人々に影響されては、すぐに「私も買ってくる!」って走ってました(笑)。

どうして10年間もストリートスナップを撮り続けることができたのか。多分それは、私が”誰かの着こなしに感動してしまう”から。その人らしい、オリジナルの着こなしは、大げさかもしれないけれど、ひとつのアートだと思ってます。自分の頭で考えて、自由にスタイリングする。それはデザイナーさんの思い描く世界観をモデルがまとって表現するファッションショーが描くアートとは違うものだと思います。ショーはひとつのアートで、だからこそこれまで数々記録されて、アーカイブされてきました。でも、ストリートスナップがアーカイブされることはほとんどなかったんじゃないかなって。だから、『STYLE from TOKYO』を作って、これまで撮り続けているんです。

実はここ数年、パリコレでも東京でも現場では作られたストリートスナップに遭遇することがあります。ブランド側がモデルやインフルエンサーに着せ込むんですね。それでスナップを撮られることで、自然と露出は増えますから。事前にアポを入れて、今日⚪︎⚪︎誌のスナップ撮影があるからっていうケースもあります。仕込んで着てくるスタイリングがダメだ、というわけではないんです。でも私は、今シーズンからきっぱりとこうしたフェイクの撮影をやめることにしたんです。 少なくとも私がアーカイブする写真は、すべてリアルな着こなしであってほしい。だから私は絶対にアポはとらないし、街での出会いだけを抽出して掲載するように決めてます。


着こなしによって

コミュニケーションが膨らむ

着こなしを考えるときって、その日行く場所、出会う人をイメージしますよね。変なTシャツを選ぶときの私は、まさに、”どこ”で”だれ”に会うか、これならクスッて笑ってもらえるかな、引かれずにきっとツッコンでもらえるかなって。


たとえば、この”THINGS TO DO TODAY(今日やるべき事)”とプリントされたヒッピーのカップルがセックスしているTシャツは、Ron Hermanのオープニングパーティに着ていきました。「私にとっての西海岸を表現してみたの」って言ったらけっこうウケて(笑)。世界的キャラクターをパロったセクシャルなTシャツ、ロックTが行き過ぎたオカルトTシャツ、大蛇のとぐろがグルっとプリントされた強烈なTシャツ(笑)・・・ピーポくんのTシャツのいたっては、街中でオシャレに着こなしている人を見かけて以来、警察博物館に行ったり、鮫洲の試験場に行ったりと探しに探した結果、メルカリで落札しました。

TPOを考えて、ハメを外しかねないTシャツをスタイリングに取り入れていく。これは、ちょっとした筋トレに近い? と言うか、スタイリングのセンスを磨く自主練 とも言えるかもしれません。だからこそ、買い集めてきた変なTシャツコレクションを普段使いでさらっと着こなし、誰かと楽しくコミュニケーションできたら、ちょっと嬉しくなるんですよね。

シトウレイ

STYLE from TOKYO photographer

石川県出身、早稲田大学卒業。日本を代表するストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリスト。『STYLE from TOKYO』を軸に雑誌、新聞幅広いメディアで活動中。広大なネットワークと軽妙なフットワークで世界各地でスナップ写真を取り続けている。Fashionista.comにてMost Influential Street Style Bloggersに選出、2013年にはNYを拠点に人気を集めるアートメディア、BLOUIN ARTINFOの選ぶ「注目すべき日本のファッションブログトップ10」に選出される等、国内外からも注目されている。ストリートファッション・フォトグラファーの権威、Sartolialistの著書に特集を組まれるなど、ファッションアイコンとしても人気が高い。ストリートスタイルからランウェイまでファッションに対する幅広い知見から企業のアドバイザー、ファッションセミナー講師、ショップのアーティスティック・ディレクター等幅広いジャンルで活躍中。

(写真 八木伸司 / 文 村松亮)

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