PEOPLE 人と暮らし

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My White Life vol.06

My White Life WHITE LIFEを象徴する人々とTシャツの関係

竹井達男 サーフ・フォトグラファー Tatsuo Takei Surf Photographer, San Diego

暮らし方そのものが視点を作る

17歳のときに見た映画『ビッグ・ウェンズデー』への憧れがきっかけとなった。日本でサーフィンを始めて、3年ほど楽しんだが、映画で見たカリフォルニアの海に入りたい気持ちに突き動かされて、竹井達男は21歳で初めてカリフォルニアにやってきた。短い滞在では満たされず、日本で資金を貯めて南カリフォルニアのカレッジに入り、写真を専攻する。


「サーフィンの写真で影響を受けたのは、白黒の写真で有名なリロイ・グラニスという写真家です。1960年代の『Surfer Magazine』で活躍された方なんですけど、アメリカで当時僕が住んでいたのがカールスバッドという小さな町で、たまたまグラニスさんの家の近くだったんです。グラニスさんは80歳ぐらいだったはずです。ある日サーフィンをしていたら、僕の隣にグラニスさんが車を止めていたので、『サーフィンの写真を勉強し始めたところなんですけど、よかったら話を聞かせてもらえませんか』と声をかけたんです。『今日の夕方空いてるから遊びにおいで』と言っていただいて、そこから付き合いが始まりました」

ロングボードを撮影するこだわり

学校でいい写真が撮れたときには見せてアドバイスをもらい、ガールフレンドができると報告し、祖父と孫のような関係が続いた。サーフィンをしながらグラニスからサーフ写真について一から学び、現在はロングボードに乗るサーファーを中心に撮影をしている。カメラはNikon F、レンズはCentury 650mmの単焦点レンズを用いり。1960年代当時の機材を用いて、現代のサーファーを被写体に、自分が影響を受けた当時のサーフ写真の味わいを表現することが竹井のスタイルだ。

PHOTO:TATSUO TAKEI

「サーファーの個性が一番出ている瞬間を僕が見つけ出して、撮影することが重要です。体の大きな人と小さい人とではサーフィンが違いますし、それぞれの個性がロングボードだと如実に現れます。ノーズライドといってボードの先端に乗る人もいますし、ボードの後ろ側に乗って大きなターンをダイナミックに決める人もいるんで、その瞬間を撮れたかどうかが、いいサーフィンの写真につながると考えています」

学生として住んだこともあるので、竹井はエンシニータスやオーシャンサイドという街を含む南カリフォルニアのサンディエゴ・カウンティに土地勘がある。ロサンゼルスに比べてのんびりしたライフスタイルの人々が多く、海に入っても、一人あたりのスペースが大きいという。そして何よりも波がよく、「ダントツにうまいサーファーばかりが海に入っている」から、サーフィンの撮影をするために南カリフォルニアを選ぶのは必然だった。


両極な二拠点生活を送るワケ

サーフ・フォトグラファーは決して安定した職業ではない。その経済的な不安も「車で暮らしていけばどうにかなるだろう」と、自分が好きなことをやるためにバンライフを選んだ。「ちゃんと走る車」「雨漏りしない車」「寒さや暑さをシャットダウンできる車」を探した。

「前からこういう車が好きで、学生時代にもバンにロングボードと機材を積んで、寝泊まりしながら撮影することが多かったので、自然とこの生活が始まりました。カリフォルニアで写真を撮ることが自分の生活の中心なので、いまは、波のいい8月から12月までをアメリカで過ごして、残りの半年を日本で生活しています。自分ではこのスタイルを、ダブルライフと呼んでいます」

サンディエゴを拠点にバンで暮らし、写真を撮ることだけに集中する6カ月。かたや、一切撮影することもなく、自分自身の営業活動だけに専念する日本での6カ月。この両極な二拠点生活を送る竹井にしか見える景色がきっとあるのだろう。


日の出前に毎朝起きるバンライフ

サンディエゴの朝は、日の出前に起きる。前日の夜に天候や波の状況を調べ、予測を立てておくので、起きるとまずその日に波がよさそうなポイントへと移動する。日が昇るまでまだ時間がある。読書をしたり、考えごとをしたり、静かに過ごせる時間としてとても重要だ。そして、夜が明けると、地元のサーファーたちと連絡をとり、撮影を開始する。いいサーフ写真を撮るための条件とは何なのだろうか?



「晴れていることはまず条件のひとつです。それと、波の形が綺麗なこと。それから、風がないこと。風が止まった状態を“グラッシー”っていうんですけど、そのときに一番綺麗な写真が撮れるので、風が吹き始める前の8時から10時ぐらいまでが撮影の時間です。そのあともいい波があれば、自分も海に入ってサーフィンをします。午前中はだいたいそんな流れです」

午後に風が吹かなければもう一度撮影に入り、撮影できないときには、車のメンテナンスや、洗濯などの日々の雑用をする。そして、日が沈む前に必ず波を確認して、翌日どうなるのか天候を読んで予測を立てる。「体がクタクタになって、寝るのは9時か10時ぐらい。毎日がその繰り返し」だという。

『ビッグ・ウェンズデー』を見て憧れたカリフォルニアの海で撮影を続け、現代のサーファーたちをとらえながらヴィンテージの風合いを帯びるモノクロ写真の数々。雑誌や写真展などでの発表を続けてきた竹井は、近いうちに1冊の写真集にまとめたいと語ってくれた。

プロフィール/

竹井達男 サーフ・フォトグラファー

大阪府出身。南カリフォルニアにあるPalomar Collegeで写真を専攻。1999年に卒業し、帰国したのち、2009年からカリフォルニアでのバンライフを開始。おもに南カリフォルニアでサーファーたちを撮影し、日本やアメリカのメディアで写真を発表している。

http://www.tatsuotakei.com

(動画 上山亮二 / 写真 鈴木心 / 文 中島良平)

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