PEOPLE 人と暮らし

PEOPLE 人と暮らし

My White Life vol.20

My White Life WHITE LIFEを象徴する人々とTシャツの関係

グラハム・ジョン ライフスタイル・クリエイティブ・ディレクター Graham Jeong Lifestyle Creative Director

サンフランシスコから提案するヘルシーライフ

「今から向かうのは、ステファニーとオレが夫婦でいつも使っている食料品スーパーのRainbow Groceryだ」と、有機食材を多く扱うRainbow Groceryへと車を走らせながらグラハム・ジョンは話す。

「値段は一般的なスーパーよりも少し高いが、健康に関するものだから必要な投資だ。燃料で走りが変わる車と一緒で、食事を変えるとパフォーマンスが変わる。アスリートなんかはもちろんだけど、そうじゃなくてデザイナーとして1日座ってモニターに向かっていても、眠くなりにくくなった。食生活を変えると疲労の度合いは全く異なってくるから、無理にコーヒーで目を覚まそうとしたり、糖分を摂ってエネルギーを取り戻そうとしたり、そういうことをする必要が本当になくなった」

Rainbow Groceryは、サンフランシスコのミッション地区に40年ほど前にオープンした老舗だ。労働組合がオーナーの、いわば生協のようなスーパー。会員になると会費を支払い、消費者が本当に欲しいものを集めた安全な店を作り上げる。もちろん会員にならなくても買い物ができるし、明るい店内はいつも賑わっている。

19世紀にゴールドラッシュで栄え、20世紀の半ば以降はビート文学やヒッピーカルチャーの発祥地として、あるいはアップルコンピューターに代表されるイノベイティブな企業が生まれる土地として、そのラディカルで自立した気風をそのまま具現化したような店だ。

「野菜なんかはここで買えば間違いない。ケイルが好きだからいつも買うんだ」

地元の古くからの仲間と

ミッション地区のコーヒーショップで遭遇

Rainbow Groceryを後にして、ミッション地区内の24番通りあたりを案内してもらう。古いサンフランシスコのストリートで、グラフィティやラテンアメリカ系のエスニックな壁画などが通りにインパクトを放っている。グラハムは、もう10年近く飼っているシベリアンハスキーのエンジェルと散歩するのが習慣となっている。

「昔ながらのサンフランシスコの遺産だと思うよ、壁画だらけのこの通りの雰囲気は。新しい人がたくさん来て面白い店を始めたり、いつも活気のあるエリアだ。うちからそんなに遠くないので、エンジェルと地図に大きな弧を描くようにして2時間ぐらいかけて歩いてきたりする。この子も歩くのが好きだし、街で歩いてるとみんな声をかけてくるよ。“ここで休んでいきな”って。人気者だよ」

グラハムがよく立ち寄るのがPhilz Coffee。いわゆるサードウェーブ・コーヒーが流行るよりも前にオープンして街に定着している、ドリップ専門のコーヒーショップだ。浅煎りのさっぱりしたサードウェーブ系の味だけではなく、パンチのあるダークローストも揃えている。

店に入ると、「ヘイ!」と顔見知りが声をかけてくる。フィックストギア・バイクのメッセンジャーチーム、MASHクルーのメンバーのデ・マルコだ。「何? グラハムの取材?」と人懐こい笑顔を向けてくるデ・マルコ。グラハムと一緒に街を歩いていると、サンフランシスコのオープンでレイドバックした雰囲気が身をもって感じられる。


ステファニーと発信する問いかけは

“Are You HELLA HEALTHY?”

FTCのデザイナーとして服やスケートボードをデザインしていたように、サンフランシスコのストリートカルチャーを生きてきたグラハム。Philz Coffeeで会ったデ・マルコはもちろんそうしたつながりの長い仲間だし、DJやスケーター、ラッパーなどの友だちも多い。そういうストリートのライフスタイルをそのままに、栄養士でありデザイナーでもある奥さんのステファニーと一緒に、”WAKE THE WOLVES”を立ち上げた。

「栄養士の知識と経験を持ったステファニーのバックグラウンドと、アパレルに関わってきたオレのバックグラウンドをうまく融合したら、カタすぎずユルすぎずでちょうどいい感覚のライフスタイルブランドができると考えた。実際に、自分が太ったと感じて体型を変えようと思ったし、食事や生活のリズムを変えると、体型だけじゃなくて体質も変わってくる。それを実現できるライフスタイルを提案していきたいね」


ケイル食のススメをポップにまとめたデジタルブック“Kale. All Day. Err Day.”をリリースし、サイト上でもヘルシーなライフスタイルへのヒントを様々に提示。グラハムは、そのメッセージをグラフィカルにデザインしたTシャツを制作するが、メインメッセージのひとつが、“HELLA HEALTHY”だ。

「HELLAっていうのは、サンフランシスコ特有のスラングで、“すごく”とか“超”とかを意味する。そういうところでもサンフランシスコならではのスタイルを出していきたいし、Tシャツはボディから全てサンフランシスコで製造しているから、紛れもなくMade in SFブランドだ。このブランドで伝えたいのは、自分が何を食べているか、それがどこで作られたものであるのかに自覚的になってほしいということ。マッチョな体を作りたいとかそういう話じゃなくて、本物の健康ってそれがベースだと思うから。そうやってライフスタイルの提示を続けていきたいね」


グラハム・ジョン

1972年、サンフランシスコ生まれ。サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート・ユニバーシティでデザインを学び、広告デザイナーとしてキャリアをスタート。その後、2014年までスケートボードとストリートファッションのブランドFTCでアートディレクター/デザイナーを務め、パートナーで管理栄養士のステファニー・ジョンとヘルシーなライフスタイルを提案するメディア“WAKE THE WOLVES”を立ち上げる。http://wakethewolves.com/

(写真 pai / 文 中島良平)

LATEST ENTRIES

vol.01 ラウル・オジェダ

ロサンゼルスを拠点に、靴の修理、カスタムメイド、オーダーメイドを行うアトリエ、Willie’s。オーナーのラウル・オジェダは、メキシコ人..

vol.02 ラウル・オジェダ

メキシコシティに生まれたラウル・オジェダは、5歳のころに家族でアメリカに移住した。ジュニアハイスクール時代に一度家族とともにメキシコに戻..

vol.03 坪井盛朗

由比ヶ浜のセレクトショップ「Losango」は、生活に必要な道具や生活雑貨、ウェアが取り揃うお店。内装デザイン業、PRO UNIFORM..

vol.04 坪井盛朗

鎌倉唯一のブラジリアン柔術道場「CARPE DIEM KAMAKURA」の代表、これがセレクトショップ「Losango」の店主のもうひと..

vol.05 竹井達男

サーフ・フォトグラファーの竹井達男は、波を楽しむロングボードや撮影用の機材を持ち運ぶ利便性からバンで移動しながら寝泊まりする生活を選んだ..

vol.06 竹井達男

サンディエゴを拠点に波に乗り、写真を撮ることに集中する6ヶ月。かたや撮影をすることなく、自身の営業活動だけに専念する日本での6ヶ月。この..

vol.07 小畑多丘

B-BOYの彫刻があったら面白いのでは? ブレイクダンスを楽しむとある美大生のカジュアルな発想がカタチとなり、いまや国内外で注目を集める..

vol.08 小畑多丘

どのようにしてB-BOY彫刻は生み出されたのか。ひとりのダンサーが彫刻家となり、世界に羽ばたくこととなった物語をお届けしたい。

vol.09 YUKI

「人は何で生きるのか」……そんなことを考える幼少時代を経て、その答えを見つけることができたのが、YUKIさんにとってメッセンジャーという..

vol.10 YUKI

 人の手から、人の手へ。YUKIさんが自転車を使って荷物を運ぶ仕事=メッセンジャーを職業にして、早10年。メッセンジャーという仕事が彼女..

vol.11 壱岐ゆかり

首元を広くカットしたTシャツに黒のワイドパンツ。花の色彩にあふれかえるアトリエで、彼女の色を持たない佇まいはとても清々しく見えた。

vol.12 壱岐ゆかり

朝4時。夏ならば空が朝焼けに染まり始めるころ。冬ならばまだ真っ暗闇。花屋の1日の始まりはとても早い。

vol.13 有元くるみ

料理家の有元くるみさんが葉山から高知へ移住して、1年と数ヶ月が経った。旅する料理家として様々な土地を訪れては、その地の食卓に触発されて、..

vol.14 有元くるみ

90年製のGMCのキャンパーを知人からレンタルし、バン一台で生産者を訪ねる旅へ出かけた。大量のキッチン道具と、愛用のサーフボードにトレッ..

vol.15 木下尚之

​故郷の岡山で、喫茶店「キノシタショウテン」を営むオーナーの木下尚之さん。最高の一杯を求めて、研究に余念がない。国内のコーヒー店では飽き..

vol.16 木下尚之

今では、岡山で5店舗を展開するまでに。それでも研究はやめない。全店のスタッフを集めて、月2回、研究会を開く。それは、知識を深める場であり..

vol.17 木村肇

平安時代から一千年以上、岡山・備前の地で脈々と受け継がれてきた備前焼。備前焼の窯元「一陽窯」の息子として生を受けた木村肇さん。「家業を継..

vol.18 木村肇

ロクロで成形したものを登り窯に並べるのに10日から2週間。これだけの時間をかけるのは、釉薬を使わない備前焼は、窯のどこに置き、いかに炎を..

vol.19 グラハム・ジョン

サンフランシスコに生まれ育ったグラハム・ジョンは、美大でデザインを学び、グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。広告やストリート..

vol.20 グラハム・ジョン

FTCのデザイナーとして服やスケートボードをデザインしていたように、サンフランシスコのストリートカルチャーを生きてきたグラハム。ストリー..

vol.21 野崎美穂

静岡県御前崎の製材所の一角、板の間の小上がりのある山小屋のような休憩所で自家焙煎の珈琲ショップ「GOOD DAY.COFFEE」を営んで..

vol.22 野崎美穂

野崎さんは毎年9月に行われている静波カールズコンテンストの主催者の内のひとりでもあり、サーフィンがきかっけで出会ったパートナーの人見さん..

vol.23 シェリー・オルセン

サンフランシスコのミッション地区。路地に入り、少し奥まった場所に陶芸家シェリー・オルセンの住む小さなコテージがある。友人が自宅の広い裏庭..

vol.24 シェリー・オルセン

サンフランシスコのミッション地区。路地に入り、少し奥まった場所に陶芸家シェリー・オルセンの住む小さなコテージがある。友人が自宅の広い裏庭..

vol.25 長田佳子

「独立をしてから、白い服を着ることが増えたような気がします」  長田佳子さんが、アパレルブランド「YAECA」のフード部門「PLAIN..

vol.26 長田佳子

​キッチンでは、小さなハーブの束があしらわれた無花果のショートケーキが完成していた。緑の香りが鼻をかすめ、ほのかな甘みとみずみずしさ、か..

vol.27 ピエール・トゥイトゥ

ファッションの都パリと言うけれど、パリと言えばやっぱり”食”。市内であれば街の至る角にカフェが存在し、安くて美味しいフランスパンは、少し..

vol.28 ピエール・トゥイトゥ

パリ生まれの、パリ育ち。生粋のパリジャンであるシェフのピエール・トゥイトゥは、ファッション系の店が並ぶお洒落な街でもなく、アーティストが..

vol.29 植田浩平

つくばの本屋『PEOPLE BOOKSTORE』の特長を、店主自らひと言で説明してくれた。古本を中心にしながら、新刊、アートブック、写真..

vol.30 植田浩平

店を構える場所として、つくばを選んだのには地元であること以外にさしたる理由があったわけではない。「こんな場所があるよ」と知り合いからすす..

vol.31 ヨンス

音楽ファンはそれまで夢中だった音楽を大切にしながら、常に新しいサウンド=アーティストを探し求めている。自分の日常の生活に光りを与えてく..

vol.32 ヨンス

Suchmosのヴォーカル、ヨンスさんのライヴでの姿と言えば……Tシャツの上に横に3本線が入ったadidasのトラックジャケット、そして..

vol.33 久保勝也

東横線の祐天寺駅。隣りの中目黒は高架下あたりが騒ついている。祐天寺は普通電車しか停まらないせいか、資本のあるチェーン店もチラホラあるが、..

vol.34 久保勝也

Tシャツは面白いですよね。年間通して着てますね。ユニフォームみたいな感覚があります。歳とともにグラフィックの入ったTシャツを着なくなりま..

vol.35 江藤公昭

「マットなのか光沢なのか、そのテクスチャーの違いからも、白は他の色以上に表情がある。ひとつとして同じ白はないというくらい、奥が深い色だと..

vol.36 江藤公昭

 原宿から明治通りを北へ、坂を登りきった交差点の手前に〈PAPIER LABO.〉がある。昨年の11月に移転オープンしたばかりの真新しい..

vol.37 銀粉蝶

これまで舞台を中心に、ドラマや映画を含めると優に100を超える役を演じてきた女優・銀粉蝶さん。今年5月に開演となる手塚治虫原作の舞台『上..

vol.38 銀粉蝶

本来、銀さんにとっては音楽よりも芝居の方が身近だった。初めて映画を観たのは一人で椅子に座れるようになった3歳の頃。「なんだか怖かったのと..

vol.39 間弓浩司

アーティストの作品とは本来、複製されると価値が下がると言われている。その一方で、オリジナルからコピーされ、多くの人々の手に渡り、作り手の..

vol.40 間弓浩司

図案を作り、版を作る。それを複製し、作品の転化を図る。そうした反復活動の中で「ファインアートとはなんであるか」を考えていく。このサイクル..

vol.41 武笠大輔

「オープンしたのが1995年だから、もう22年か。よくやってるよね、ホントに」と、笑いながら武笠大輔がAnimal Boatについて話し..

vol.42 武笠大輔

自宅にあったガレージでAnimal Boatを立ち上げ、自分や仲間のバイクをいじりながら、実地でメカのことを覚えていった。古いバイクを手..

vol.43 新田理恵

食卓研究家として、フードコーディネートやレシピ開発などの活動をおこなう新田理恵さんが代表を務める{tabel}とは、日本在来種の薬草をも..

vol.44 新田理恵

無農薬、無化学肥料栽培、在来種を最低ラインにして、地域に根付く国産の薬草を旅をしながら見つける。それが{tabel}代表の新田さんが今現..

vol.45 白倉和宏

「楽しんでもらいたい、というのがいつも自分の根底にあります」。新潟の中心市街地は、駅から信濃川をまたいだ北西側の古町と呼ばれる一帯。そこ..

vol.46 白倉和宏

ストリートカルチャーに通ずる人や物、トレンディーな事象にアンテナが効く白倉さん。東京でナウいものを見つけては新潟に持ち帰り、サロンやカフ..

vol.47 大場康司

大工道具で、スケートボードやハンドシェイプデッキを手がける国産スケートボードファクトリーwoodentoy(ウッデントイ)。主宰の大場さ..

vol.48 大場康司

「ものをつくれる職人になりたい」そう漠然と思いながら、10代後半にいろいろなアルバイトを転々としていた大場さんが、ある現場で大工と出会っ..

vol.49 ヴィクトリア・モリス

ロサンゼルスに生まれ育ち、現在もLAを拠点に制作を続ける陶芸家のヴィクトリア・モリス。最近購入したという彼女の自宅を訪れると、裏手には美..

vol.50 ヴィクトリア・モリス

ロサンゼルスに生まれ育ち、現在もLAを拠点に制作を続ける陶芸家のヴィクトリア・モリス。高校で陶芸の授業があり、子どもの頃には触れられなか..

vol.51 新城大地郎

宮古島出身の若き書家、新城大地郎。実家は宮古島で最も古く、約400年前から続く由緒正しいお寺。書が身近にあったこともあり、思春期の彼に..

vol.52 新城大地郎

「なぜ、英字新聞の上に書いているんですか?」そう聞かれることは多いという。昨年秋、新城大地郎の初個展『Surprise』会場でも頻繁に耳..

vol.53 加賀美健

​代官山の猿楽町交差点からほど近く。昔ながらのアパートの3階にそのお店がある。現代美術家の加賀美健がオーナーを務める「Strange S..

vol.54 加賀美健

現代美術家の加賀美健が、ストレンジ・ストアをオープンしたのは8年前のこと。「普通の古着屋さんじゃつまらないんで、なんだかよくわからないよ..

vol.55 宮本彩菜

モデル業、ときどき映像制作、そしてLISACHRISとのデュオ『パイシーズ』としての音楽活動。宮本彩菜のフィールドの幅は、広くて自由だ。..

vol.56 宮本彩菜

幼少期の自分の性格を自己分析するなら「愉快な子」。なぜかいつも変な顔で写真に写っていたという宮本さんは、5人兄弟の3番目にして次女。幼少..