PEOPLE 人と暮らし

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My White Life vol.42

My White Life WHITE LIFEを象徴する人々とTシャツの関係

武笠大輔 Animal Boat Custom Cycles代表 Daisuke Mukasa Animal Boat Custom Cycles, Owner Mechanic

はじまりは自宅のガレージだった

「 知り合いからバイク屋で働かないかって誘われて、そうすると世の中にはいろんなバイクがあるじゃないですか。いろいろ知ると楽しくなってきちゃって、 それで買ったのが初期型の赤タンクの4フォア(ホンダのCB400 Four)だったんですね。まだ旧車もそんなに高くなかったし、草レースも結構盛んだったんで、レースで使ってたバイクの残骸を先輩にもらって、自分のバイクに一生懸命つけたりしてました」

自宅にあったガレージでAnimal Boatを立ち上げ、自分や仲間のバイクをいじりながら、実地でメカのことを覚えていった。古いバイクを手に入れると、それを修理して乗る。

「20年やって、やっとこさってところですよ」と謙遜するが、旧車に合わせるパーツをオリジナルで、さらには搭載するエンジンまでも1から作り上げる技術と知識を持つ。得意とするのは60年代のホンダだというが、モトグッチなどのイタリア車を最近は手がけるなど、扱うタイプを限定することなく柔軟な姿勢で仕事を続けている。

「自分が持っている設備では対応できないことはもちろんあるので、そういう注文が来た場合には別のお店を紹介したりしますが、フィーリングが合えば変わったこともいろいろやっています。物理的な話、硬いパーツはなんとかなるんですよ。鉄製のもので旋盤とかフライス盤で作れるものであれば、もし部品が残っていなくても作ることができますから」


レストアに限らずオリジナルでパーツを作り技術が向上し、マシンを1から作り上げられるようになったのは、15年ほど前にレースを始めたことがきっかけだ。バイク仲間と 『MCFAJ全日本クラブマンロードレース選手権』という草レースの大会のLOCというクラスに参加しようという話になり、クラブ登録をする必要があったために『Curry Speed Club』を結成した。。

「なんの実体もないクラブなんですけど、歳も近くて仲のいい連中が集まって、いい出会いから生まれものだったんですかね。15年ほど続いているわけですから。レースを始めると、街で走っている時に考えなかったことをトラックで考えるようになりますから、いろいろいじって、試して、学ぶことが多いですね。この4〜5年で学んだことも未だに多いですし、走るのが好きだから、これだけオートバイに楽しく触れていられるんだと思いますよ」

そして、アメリカで開催されるレースにも参戦するようになり、現在も、年に1〜2回は出場している。排気量の小さいバイクを対象とするクラスに参戦し、楽しみながら大きく刺激を受けているという。

「バイクを押しながらエンジンをかける“押しがけ”のルマン方式のスタートで、それがおもしろいんですよ。いつも似たようなメンツが走るので、顔見知りになっていくんですね。そうすると、初めて走るコースでは、どういうラインを取るといいのかなど教えてくれたりもする。やっぱりバイク好きでレースやってる人間ということで、共通の雰囲気みたいなのをみんなが持っていて、すぐ仲良くなれますね」

去年は、Willow Springsというサーキットで行われたレースで3位になり、初めて表彰台に立つことができた。その時の話をする武笠の表情は、さながら少年だ。

「全長5kmぐらいなのにコーナーが9つしかない高速コースなんですね。コーナーでちょっとでも減速したら追い抜かれるから全速でコーナリングしないといけないし、ボロいサーキットだから端っこを走ると砂が浮いていたりして危ないし、はっきり言って怖い。

でもレースが始まると、同じぐらいのマシンが走るわけだから、前のあいつをどうしても抜きたいとか、後ろのこいつにどうしても抜かれたくないとか、バトル感がありますよね。それがやっぱり気持ちいい。Willow Springsで3位になった時も抜かれたくなくて必死に走ったわけだけど、レース後にビデオを見せてもらったら、すぐ真後ろを1台走っていてギリギリの3位だった。嬉しかったですね」

アメリカでは草レースが全土で開催されており、バイクレースの文化が広く根付いている。参加費も安く、「1万円も払えば十分走ったって満足できるぐらい走れる」。そんな経験から、日本でもレースを開催するようになって4年目を迎えた。

「最初の年から30台ぐらい集まって、今は多いと100台を超えるかな。シリーズで年4戦開催しているんだけど、参加条件は1964年までのスーパーカブみたいなボトムリンク式サスペンションを備えたオートバイで、年間2500円の保険に入ってもらうこと。基本的には、知り合いの紹介で広がったんだけど、日本でレースっていうと敷居が高いと思うし、安い参加費でたくさん走って楽しめるレースをやりたいと思ったのがきっかけですね。敷居を低くしすぎるとレベルが上がらないからよくないと思うけど、閉鎖的になっていくとおもしろくない。そのバランスは難しいけど、休みの日に時間をとってサーキットまで走りに来て、“これだけ?”ってガッカリされたら申し訳ないじゃない? オートバイでサーキットを走って、みんなが一緒に本気でレースと向き合える環境をこれからも作っていきたいですね」

武笠大輔

Animal Boat Custom Cycles代表

1970年、東京生まれ。バイク屋の勤務を経て、1995年にAnimal Boat Custom Cyclesを創業。2000年代前半にCurry Speed Clubを結成し、レースに参戦を開始。現在は自らBOBLというレースを主催するなど、オートバイの旧車カルチャーを牽引する。

http://www.animalboat.com(Animal Boat)

http://www.curryspeed.com(Curry Speed Club)

(写真・文 中島良平)

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