PEOPLE 人と暮らし

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My White Life vol.44

My White Life WHITE LIFEを象徴する人々とTシャツの関係

新田理恵 食卓研究家 / Tabel代表 Lyie Nitta Food Researcher / Tabel President

土地と人をつなぐ伝統茶を探す旅へ

月に桃と書いて月桃(げっとう)。沖縄では古くから親しまれるショウガ科の常緑多年草は、地元ではお茶として、さらに料理にもよく利用されている。

「赤ワインの34倍ものポリフェノールが含まれていることから抗酸化作用が注目されているんです。この月桃に出会ったときも、本州の人が知らないのはもったいないなと思った。それで、『石垣島の香り華やか月桃茶』という商品が生まれました。{tabel}をはじめてから、安心できる薬草を求め国内の各地を調べました。それで九州や四国・近畿地方に多く産地があることに気が付いたんです」

無農薬、無化学肥料栽培、在来種を最低ラインにして、地域に根付く国産の薬草を旅をしながら見つける。それを伝統茶としてリリースのが{tabel}。代表の新田さんが続ける。

「国内の薬草文化そのものは高齢化しています。作っている人も、飲んでいる人も、世代としてネットにあまり強くない高齢層なので、本当に調べても全然出てこないんです。それで旅をしながら、薬草を見つけるスタイルが自然と確率されました。いざ現地に行くと、溢れんばかりに薬草があったりするので。現地に行かないとわからないんです」

「たべる」それは人を良くすること

{tabel}のパッケージには、薬草がモノクロ写真でプリントされている。

「”100年前の植物図鑑”がテーマなんです。月桃って書かれていてもどんな植物かわからないですよね? 植物そのものも知ってほしいんです。それとパッケージの色は効能を示しています。印象ではあるんですけど、ブルーのものはデトックス、ピンクは温めるものです」

新田さんのライフミッションは、食と健康。

大阪で生まれ、実家はパン屋だった。八百屋や魚屋が密集する市場も近かったことから、食べ物にまつわる人、文化に囲まれて育った。

「食べ物は暮らしの根底にあるもので、でも大事がゆえに扱い方を間違えると凶器にもなってしまう。高校2年生の時に食を見直す出来事があったんです。父が糖尿病になったり、身近な人が食関係で健康トラブルになったり。本当に食べることを大切にしなきゃいけない。食べるって漢字は、”人を良くする”って書くんだから」

大学で栄養学を学び、管理栄養士の資格を取得。卒業後は、フードコーディネーター系の会社に就職。その後、紆余曲折を経て、国際中医薬膳調理師の資格も取得し、東西の栄養学の両方を知ることとなった。さらに薬膳料理や薬膳茶を作る立場になり、その材料のほとんどが輸入品だということに気づいた。



食生活を変えるそれはとても難しいこと

野菜を食べなきゃいけない。そう思って、すぐに食生活を変えられる人はごくわずか。新田さんはそう話す。

「食生活を変える。これは人間にとって難しいものの一つなんです。お付き合いで外食もあったり、料理はおろか、買い物をする時間がないほど忙しい人もいます。そんな中で何が提案できるのか。ずっと考えてきました。効果効能がしっかりしていて、手軽なものはないか。そう模索する中で、薬膳に興味を持ち、薬草茶と出会った。それで{tabel}が生まれたんです」

その分野では素人に近かった新田さんは、現地に足を運び、多くの出会いを通じて知識を得ていく。

「熊本県八代地方では、30年以上前から農薬を使わずに自然由来の肥料で栽培をされている蓮根農家さんに出会うことができました。その出会いをきっかけに『八代の日本古来のはすの葉茶』が生まれた。2014年のゴールデンウィークにいったその旅では、いくつかの街を巡り、薬草工場や地元の農家さんを訪ね、町単位で薬草の栽培研究やっている活動などもみることができました。{tabel}では、薬草茶すべてに地名をつけています。石垣島の〜とか霧島の~とか。これはお茶をきっかけにその土地も知ってほしいから。そうすると、全然面識のないところから私熊本県に住んでいるんですけど、熊本県のお茶を扱いたいです、って連絡が来たり。結婚式をあげるのに自分たちのゆかりの地のものを引き出物にあげたいんです、っていう連絡を頂いたり。人と土地って切り離せない、思っていた以上に強いエンゲージがあるんだなって」

一言でよもぎといっても、土壌や気候によって味は変わる。畑それぞれで同じシャルドネのワインの味が違うように。個性があるこそ、土地と薬草との組み合わせで商品群が形成されている。

「国産の薬草がほとんど育っていない状況に対して、内閣府も薬草の国産化を応援しているんです。もし国際情勢悪くなったら、漢方薬を作れなくなってしまうので。それで国内には、厚生労働省の下に国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所というものがあって、研究対象のひとつに薬用植物が含まれています。日本の気候を大きく3つに分類して、北海道の名寄、茨城のつくば、そして南は種子島にあるんです」

お茶というコミュニケーションツール

お茶があると、人が集まる。人をつなぐ。

{tabel}の新田さんが考えるお茶の効能のひとつだ。

「日本の暮らしには昔からお茶というコミュニケーションツールがあった。お茶を飲んで、一回休憩、そこに輪ができる。気持ちを切り替える効果は、ひとりでも活用できますよね。1日の流れをリセットするツールにもなる。そのリセットの時間、5分でもいいんです。今日はそういえば体力が落ちてるからこのお茶にしよう、そんな風にお茶を飲むときに自分の身体に一回意識を向けてもらえたら本望です。身体からはいろんなサインが出ているはず。自分の身体の状況を感じ取る時間があって、そんな状態を整えるツールのひとつにお茶が加わってくれたらいいなって思ってます」

新田理恵

1984年大阪生まれ。武庫川女子大学食物栄養学科で管理栄養士を取得して卒業後、フードコーディネーターとしてE•recipeに就職。現場で写真家から撮影を習ったのが昂じて、写真表現大学総合科に入学。その後、東洋の養生に関心を抱き、国際中医薬膳調理師の資格を取得して、食卓研究家として独立する。2014年、日本の薬草やローカルの魅力を伝えるコミュニティ{tabel}を始動。2016年にTABEL株式会社へと法人化。様々な企業や市町村とのコラボレーション企画も行なっている。

tab-el.com/

(写真 松本昇大 / 文 村松亮)

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