看板メニューをTシャツにします #06

古書店街の老舗喫茶で味わうナポリタン さぼうる2

名店料理2019.2.8 Fri.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第6回。ランチタイムには毎日行列ができ、多くの人々が昔ながらの大盛りスパゲッティやを堪能する。神保町で創業60年を超える老舗喫茶店、「さぼうる2」に取材した。

創業は昭和30(1955)年。古書店街として人々を惹きつける神田神保町に、喫茶と軽食の「さぼうる」と、食事メニューの充実した「さぼうる2」が並んで営業している。山小屋を思わせる店内。スペイン語で「味」「風味」を意味する「sabor」に由来する「さぼうる」は、朝早い時間からコーヒーを飲む客で満席に近い盛況ぶり。そしてランチの時間帯には、「さぼうる2」の前に行列ができる。その一番人気のメニューが、山盛りのナポリタン(サラダ付きで700円)だ。

味は、まさに正統派。テーブルに運ばれてくると、ほんのり甘酸っぱいケチャップの香り、きっちりと炒めた香ばしさが混ざり合って鼻腔を刺激する。崩れないようにフォークをスパゲッティに差し込みクルクルと回そうとするものの、大盛りだから多少皿からはみ出るが仕方ない。トレーに受け止めてもらおう。マッシュルームにピーマン、シャキッとした食感の残る玉ねぎ、サラミのような薄切りソーセージがいい具合にケチャップによって麺と絡み合っている。多くの人が思い浮かべるナポリタンの最大公約数のような味だ。フォークが進む。

3分の1ほど食べたら、パルメザンチーズとタバスコで味に変化を加える。ガツンと味のパンチが強くなり、一人で食べながらにやけてしまいそうになる。口の中がナポリタンの味と香りに侵略されたような状態が快感だ。最後まで食べ進み、口を拭うと、思った通りティッシュは真っ赤。水を飲み、濃いめのコーヒーを食後に味わう。東京のサラリーマンはこんなに幸せなランチタイムを過ごしているのか。いちごジュースや6色展開するクリームソーダも名物メニューとして知られている。今度はそっちか?

写真と文:中島良平

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