看板メニューをTシャツにします #03

玉子サンドが人気の老舗甘味処 天のや

名店料理2018.9.21 Fri.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第3回。大阪で甘味処として創業した「天のや」の玉子サンドは、ダンスホールやキャバレーが立ち並ぶ宗右衛門町や道頓堀界隈で、昭和20〜30年代に芝居見物や観劇の土産として人気を集めた。現在は東京の麻布十番に場所を移し、東京でも多くの人に愛され続けている。

1927(昭和2)年に大阪は北区曾根崎で創業すると、5年後に南に移り、フルーツパーラー日本橋ソーダファウンテンとして開業した。太平洋戦争が始まると大阪の大空襲で焼失してしまい、戦後にバラック建ての店舗で営業を再開した。

戦後の復興が進み、1950年代から60年代にかけて経済成長期に入ると、街の賑わいが新たなフェイズへと展開する。宗右衛門町や道頓堀界隈にはダンスホールやキャバレーが乱立し、お茶屋置屋も数多くできた。働く女性も増え始め、甘味処「天のや」は女性たちに人気の店となった。その頃だ。観劇などの前に一口サイズで食べられる、手軽な玉子サンドが人気になったのは。

関西風の出汁をふんだんに使用したフワフワ食感のだし巻き玉子を柔らかい食パンで挟み、マスタードを利かせたマヨネーズソースで味をグッと引き締める。宗右衛門町という場所柄、歌舞伎役者や文楽の人形使いなど、芸人たちにもお土産として大いに贔屓にされていたという。

そして2002年。東京の麻布十番に移転すると、関西風のだし巻き玉子のサンドイッチが食べられる店として、瞬く間に人気店となった。夜のメニューとして提供されるお好み焼きも高く評価されており、2015年から4年連続でミシュランに掲載されている。

家族によるこぢんまりとした経営で、人気メニューの味を守り続け、大阪から東京に移ってもファンから愛され続ける「天のや」。テイクアウトでももちろん美味しいが、ぜひお店に足を運び、できたての玉子サンドを味わってほしい。玉子の甘みとマスタードの辛み、マヨネーズの酸味がフワフワの食感の中に一体化していく感覚に、病みつきになるはずだ。

甘味処 天のや

東京都港区麻布十番3-1-9
TEL:03-5474-8117
営業時間:ランチ 12:00〜15:00、ディナー 18:30〜22:00
定休日:毎週火曜日(その他、不定休)

http://amano-ya.jp/

写真と文:中島良平

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