PEOPLE vol.53 加賀美健 現代美術家/Strange Storeオーナー

ヨレヨレの無地の白Tの着心地

People2018.1.23 Tue.

代官山の猿楽町交差点からほど近く。昔ながらのアパートの3階にそのお店がある。現代美術家の加賀美健がオーナーを務める「Strange Store(ストレンジ・ストア)」だ。

店内には、展覧会などで海外に行った際に買いつけた古着や雑貨、友だちがデザインしたTシャツやZINE、そして、自ら手がけたオリジナルブランド〈C〉のTシャツなどオリジナルアイテムの数々が並ぶ。

「Tシャツを作るときは、やっぱり紙に書いてあるのと洋服に書いてあるのとでは見え方が違いますし、カワイくないと洋服は売れないんで、アートのときとは少し意識が違います。3分の1が笑いで3分の2が皮肉、みたいなバランスは一緒ですけどね」

風邪を引いて熱が出た時の悪寒をイラストと文字にした「OKAN」Tシャツや、「こんな人いるよね」と思わせる女性の顔を描いた「otsubone」Tシャツ。事故の後の示談を「JIDAN」と表したものもある。ポップなイラストとナンセンスな文字を組み合わせたデザインは目を楽しませてくれる。

「自分では〈C〉のTシャツとかほぼ着ないですね(笑)。僕が選ぶのは黒、白、グレーとか無地のTシャツにジーパン。冬になるとN-3B。バカみたいに15着ぐらい持ってるんですよ。好きだから色違いとかで買っちゃう。Tシャツは黒が多くて、白を着るのは夏ですね。ちょっと気分変えて白にしようかなっていうときとかに。結構ヨレヨレのが好きで、何回洗濯したんでってヤツを着続けたり、古着でボロボロの白の無地を買ったりもしますね」

中目黒のギャラリーVOILLDで、1月26日から2月4日まで『加賀美健のそ展 “KEN KAGAMI’S COLLECTION –SO-』が開催される。のりピーグッズを集めた『の展』、カトちゃんグッズを集めた『ぺ展』に続く『そ展』では、道端で拾い集めた「なんで落ちてるんだ?」と思わせる「そ」にちなんだあるものが展示される。

「展覧会というか、自分が集めたものを見せびらかす感じです」と笑う彼に、インタビュー後編では「実家帰れ」の背景やアートについても語ってもらった。

加賀美健

現代美術家/Strange Storeオーナー。1974年、東京出身。企業ロゴや美術史上の名作、ポップアイコンなどを自在に組み合わせ、立体やドローイングなどでシニカルで笑える表現を行う。国内外で作品を発表しながら、代官山でオリジナルアイテムと古着を扱うStrange Storeを経営。アパレルブランドとのコラボレーションも多数。
http://kenkagamiart.blogspot.jp/
https://www.instagram.com/kenkagami/

写真:松本昇大 文:中島良平

ページトップへ