Style: Paint Your White Canvas

vol.01 Risa Taniguchi「自分がクラブにハマったきっかけを忘れたくない」

Music2019.6.18 Tue.

白いTシャツを身につけたミュージシャンを撮影し、音楽への思いについてインタビュー。そして、白いキャンバスに絵を描くようにして自らのスタイルをつくりあげていく彼ら・彼女らの声を、白T姿のスナップとあわせて紹介する。シリーズ第1回は、2018年末にスペイン・バルセロナのレーベルSuaraからリリースしたEP『Calling You』が話題となったテクノDJでプロデューサーのRisa Taniguchi。

UKのベースミュージックの体にくる振動

幼い頃からピアノやトロンボーン、バイオリンなどに触れ、クラシックを中心に音楽と親しんできた。大学に入学するまではクラブカルチャーのことは全然知らず、受験も終わりファッション関連のバイトをしたことで知り合った友人に連れられ、初めてクラブに行ったときの体験で即ハマった。Risaは笑いながらこう話す。

「それまでも音楽は好きでしたが、図書館を回ってクラシックのCDを借りまくってるようなタイプでした。初めて友だちに連れられてクラブに行ったのが2008年だったんですが、エレクトロががっつり流行ってた時期で、原宿界隈のファッションシートの結びつきも強くて、ちょっとクラブのギラギラした感じも新鮮だったので一瞬でハマりました。すぐにDJに興味を持って、3ヶ月ぐらいお金を貯めてDJの機材を買い揃えたんです」

DJとして音楽を聞きこむうちに、ハマっていったのがUKのベースミュージックと呼ばれる音楽だった。

「体にくる振動だったり、内臓が動くか動かないかみたいな。そこで楽しむ音楽というんですかね。低音が効いてて、楽しみ方としても、みんなで揃ってハンズアップして仲良く踊るというよりも、自分の世界に浸りながらガン踊りしたくなるようなタイプのものです」

Ring, Earrings: THE Dallas (THE Dallas lab.) 

DJを始めて1年ほどすると、友人のツテを頼ってクラブでDJとしてプレイできるようになり、大学3年のときにイギリスに短期留学する。大学ではフランス語を専攻していたが、クラスメイトがこぞってフランスに留学する中、Risaは留学先としてロンドンしか考えられなかった。

「アンダーグラウンドのベースミュージックに興味があったので、ロンドンでUKの音楽を聞きたいと思ったんですね。そのときに友だちに頼み込んで、イーストロンドンのミュージックバーで開かれたイベントでDJをやらせてもらいました。自分が東京でかけている音楽を本場でかけてロンドンの人たちに踊ってもらえたときは、衝撃的な嬉しさでしたね」

その頃には、トラックを制作するための機材も買い、曲も作るようになった。東京でクラブシーン自体が衰退し始めていた時期だと感じ、曲を作らないと生き残れないと思ったことがきっかけだった。「最初はゴミみたいな曲しか作れなかった」というが、作った曲を聞かせるといつもボロクソに言っていたヒップホップのトラックメーカーである友だちから、あるとき「これ、かっこいいじゃん」と言われて、少し手応えを感じたという。そして曲を作り続け、2014年にBlink Musicという自主レーベルを立ち上げた。

超絶規模の野外フェスでオーディエンスをクレイジーにさせたい

「曲名とかも考えるの得意じゃないんですけど、とりあえずバ行の音が耳あたりがいいと思ったのと、blink=まばたきというイメージが、いつなくなるかわからない一過性のものみたいでカッコいい気がしてレーベル名を決めました。自分で曲を作ってもリリースしないと人に聞いてもらえないので、自分で作るほかないな、という感じでレーベルを立ち上げました」

自分がホストを務めるパーティーもレギュラーでもち、人気を集めるようになると、海外から来日するDJも語学力を生かして率先してアテンドした。自然と自分が作った音源を聴いてもらえる機会も増えてきて、2017年の春にはアメリカSouth by Southwest®︎(SXSW®︎)に出演し、アメリカでツアーも行った。

そして2018年は怒涛の1年となった。6月にリリースしたEP『Ambush』がリリースされるとオンライン配信サービスのBeatportでもLeftfield Techno部門でトップ10入りを果たし、年末にはシーンの最先端を牽引するバルセロナのSuara MusicレーベルよりEP『Calling You』をリリースした。国内のアンダーグラウンドシーンでは一定の支持を集めていたが、むしろ逆輸入のような形で、本格的にシーン全体で評価されるようになったといえるだろう。

「海外のレーベルからリリースすると、自分とは全く別の宇宙に住んでいると思っていたような海外の大御所アーティストが自分の曲をプレイしてくれた、というドキュメントをエージェントが送ってくれたりするんですね。全然会ったことのない大御所とつながれたり、海の向こうから応援してくれたり、というのは本当に嬉しいです」

普段は黒系の服装が圧倒的に多いというRisaだが、白Tを着て撮影となったときには真っ先に「白Tシャツといったらライダースでしょ」と思い浮かんだという。そんな彼女に自分の音楽スタイルを聞いてみると、「自分を第三者的に見るのは難しいですけど」と前置きしつつ、こう話してくれた。

「周りから言ってもらえるのは、ダークだったり硬派っぽいとか言われることが多いです。あまり曲でメジャーコードを使わないというか、明るいのが好きではないんでそう言われるのかもしれません。でもUKのベースミュージックにハマってずっと続けてきたので、そういうルーツの部分みたいなのは忘れずに突き詰めていきたいです」

今目指しているのは「死ぬほどお客さんがいる野外のフェスでDJをして、そこのピークタイムで自分の曲をかけてみんながクレイジーになる」場面を生み出すこと。そのために日々制作を続け、自分のスタイルを確立していく。

Risa Taniguchi
東京外国語大学在宅中にクラブミュージックと出会い、2008年よりDJ活動を開始。自身が立ち上げたレーベルBlink Musicよりトラックのリリースを重ね、Rinse Franceへのミックス提供、SXSW 2017への出演などで評価を高める。2018年12月にSuaraよりリリースしたEP『Calling You』が話題となり、BeatportのBest New Technoに選出。From Tokyoのアップカミングなアーティストとして世界各地で注目度が高まっている。
https://soundcloud.com/risataniguchi
https://www.facebook.com/RisaTaniguchimusic/

服部宗佐
写真家。1990年、三重県出身。名古屋モード学園在学中に独学で写真を撮り始める。2012年、同学園を卒業後にLAD MUSICIANに入社。2019年に独立し、写真家として活動を開始する。
https://www.sosukehattori.com

Model: Risa Taniguchi Photo: Sosuke Hattori Special Thanks to Takumi Noshiro

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