私の大切な1枚 #12 ヨシザワ“モーリス”マサトモ YOUR SONG IS GOOD ギター

今のバンドのムードがデザインに表れている

Column2018.8.21 Tue.

特別な思い入れのある1枚のTシャツを紹介してもらう連載コラム。ギタリストとして参加するバンドYOUR SONG IS GOODのデビュー以来、Tシャツのデザインも手がけてきたデザイナーの顔も持つヨシザワ“モーリス”マサトモが選ぶのは、今年の夏に発売している1枚だ。

今年でバンドを結成してから20年で、初めてTシャツを作ったのは2000年だったかな。Tristezaというインストバンドの日本ツアーのサポートで、大阪公演に出演したときです。初めての東京以外でのライブだったので、バンドが動き始めたなと感じてTシャツを作ることになりました。それからアルバム発売のタイミングだったり、自分たちでイベントを企画したときだったり、多いときは年に4型ぐらいTシャツを作ってきたので、もう相当な枚数あります。

基本としては、バンドの中のムードだったり、今やろうとしている音楽性だったり、そういうのをどうビジュアル化するかということを意識してデザインします。今年の夏のデザインは、ポップがいいかなと。スタッフも交えて打ち合わせをしたら、夏フェスで昼間に演奏してからゆったりする感じをイメージして「Chill Out(チルアウト)」とか、自分たちの楽器周りの話から「オルガン」とかが出てきたんです。今までだったら、「Chill Out」みたいなベタでキャッチーなワードは避けるようなところがあったけど、今回はあえて、ストレートに書いちゃおうと。

あと、オルガンというか、背中にプリントしたイラストの鍵盤もそうですね。シンプルに表そうと思いました。最近、広報用のアー写を岐阜の植物園にある熱帯雨林のコーナーで、トロピカルな植物を背景に撮影したこともあったので、その葉っぱもモチーフにしました。学生時代から変わらないスタンスでバンドを続けてきて今年で20年なんですけど、最近は素直に「気持ちいいものは気持ちいい」みたいな、そういう素直さのようなものがバンド内でも出てきています。変にとがったことをやるよりも、ストレートに今いいと思うものを出そうみたいなムードなので、余計にこねくり回さずに仕上げたTシャツに表れているのかもしれません。

ライブ会場に来て、基本的にパッと見でいいなと思ってもらえるTシャツを作りたいといつも思っています。Tシャツは第一印象が重要だと思うんで。だからよくバンドの内輪の話ではよく「フトい」って言いかたをするんだけど、文字が太いとかそういうことではなくて、繊細さではなく“ぶっとい”デザインでアピールするみたいな。それはもしかしたら音作りの発想とも似ているのかもしれません。まずはリズムありきで曲を作っていて、どんな感じのノリの曲にするかというのが重要になっているので、曲作りのときも最初のイメージを太く下書きしているのかもしれません。

ヨシザワ“モーリス”マサトモ

1998年に武蔵野美術大学時代の同級生であるサイトウ“JxJx”ジュン(オルガン)らと、YOUR SONG IS GOODを結成。パンクロックにはじまり、スカやロックステディ、カリプソなどのトロピカルな要素もちりばめながら、生演奏のダンスミュージックを展開するインストゥルメンタルバンドとして人気を集める。今年は初の海外公演として韓国でライブを成功させ、今後は海外でのライブも積極的に行っていきたいという。YSIGのアルバムジャケットや関連グッズのデザインはもちろんのこと、イラストレーター/デザイナーとしても活躍している。

http://kakubarhythm.com/artists/yoursongisgood

YOUR SONG IS GOODが2017年5月にリリースしたアルバム『Extended』。
新作のリリースに向け、夏フェスへの出演と並行してスタジオワークを続けている。

写真:八木伸司 文:中島良平

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