看板メニューをTシャツにします #01

江戸前を継承する老舗 土手の伊勢屋

名店料理2018.8.2 Thu.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第1回。かつての遊郭の入口、吉原大門の目の前で1889年に創業した老舗天丼屋「土手の伊勢屋」を訪れた。

営業は昼のみ、連日長蛇の列が店の前にできる老舗天丼屋、土手の伊勢屋。穴子専用の水槽を店外に設置し、当日の朝に締めたばかりのふっくらした穴子、ぷりぷりの大ぶりのエビや季節の白身魚などを香ばしいごま油でさっくりと揚げる。新鮮な素材とごま油、衣のまとい具合やタレのほどよい甘辛さなど、細部にまでこだわった天ぷらが、揚げたての状態でご飯に乗せて供される。100年を超えて受け継がれてきたこの味を、登録有形文化財に登録された趣深い建築空間で堪能することができる。4代目の若林喜久雄は次のように語る。

「江戸時代には東京湾で取れたキスやハゼが、隅田川を上ってきた船から新鮮な状態でここまで運ばれていました。当時は屋内で揚げ物を作ることが禁止されていたので、屋台で営業をしていました。遊郭に遊びに行くお客さんや客引きなどが昼夜を問わず訪れ、深夜には遊郭の泊まり客に出前も行なっていたようです。それが江戸前天丼の始まりです。埋め立てられる前の江戸時代には東京湾がもっと近く、遊郭もあったことで客が絶えなかった。そうした背景から江戸前天丼の味が確立し、現在も昔のままの味を受け継いでいます」

Tシャツにプリントした天丼(ハ)は、穴子、海老、小エビのかき揚げ、小鯛に野菜3種が乗った土手の伊勢屋の集大成(2500円)。サクサクと揚げられた衣の食感と吟味した素材の旨み、ふっくらと炊き上げられたご飯と香ばしい油の香りなどのバランスによって、箸が止まらなくなる逸品だ。

土手の伊勢屋

東京都台東区日本堤1-9-2
TEL:03-3872-4886
営業時間:11:00~14:30
定休日:水曜日、第4火曜日

http://www.dotenoiseya.jp

写真と文:中島良平

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