看板メニューをTシャツにします #11

金沢・片町の胃袋を満たす老舗洋食店 グリルオーツカ

名店料理2019.8.27 Tue.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第11回は、石川県金沢市に出張。香林坊交差点から裏手に入り、レトロな長屋が連なるエリアで1957(昭和32)年に創業した老舗洋食店グリルオーツカの前には、連日長蛇の列ができている。

金沢で古くから親しまれる洋食店というと、真っ先にグリルオーツカの名前が上がる。クラシックなフォントで店名が書かれた入口の看板、白いカバーが敷かれたテーブルの並ぶ清潔な店内、スパゲッティやハンバーグ、サンドウィッチなどがラインナップされたメニュー。そのメニューの中で一際目立っているのが、唯一の写真と「ハントン」の文字だ。現在3代目として店舗を切り盛りする正樹さんによると、まかない飯としてスタッフが内輪で食べていた料理発祥のメニューだという。

「ハントンライスが誕生したのは、昭和42年です。ハンガリーにパスタをパプリカのソースで赤く色付けて、その上に鯉のフライを乗せた名物料理があるらしく、それをモチーフにしたのでハントンの『ハン』。そこからオムライスのようにアレンジし、鯉ではなくカジキマグロのフライを乗せているので、フランス語でマグロを意味する『トン』。ハントンはうちがメニューのために考えた造語です」

現在では金沢市内で20軒ほどハントンライスを出すお店があると言われており、金沢発の洋食メニューとして地元で愛されている。そのオリジナルを食べてみた。オムレツはトロリとした部分としっかり火の通った部分がバランスよく全体を覆っていて、少し甘めのケチャップライス、ペースト状になったゆで卵によって酸味を抑えられたタルタルソースが口に入ると、まろやかに味が溶け合う。そしてサクッと揚げられたカジキマグロとコエビ。しっとりとしたカジキマグロとプリッとしたエビのそれぞれの食感がアクセントとなり、スプーンが止まらなくなる。

大盛りサイズといわれても納得のボリュームで、ランチタイムには地元のサラリーマンから観光客まで多くの人々を惹きつけている。アットホームで居心地のよい店内で、行き届いたサービスを美味しい料理とともに味わえる魅力的な洋食店だ。

グリルオーツカ

石川県金沢市片町2-9-15
TEL:076-221-2646(予約不可)
営業時間:11:00〜15:30、17:00〜19:50
定休日:水曜日(祝日の場合は営業。振替休日有り)

https://tabelog.com/ishikawa/A1701/A170101/17000706/

写真と文:中島良平

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