看板メニューをTシャツにします #05

いちごが王冠のように広がる“クラウンスタイル” 資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェ

名店料理2019.1.23 Wed.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第5回。銀座通りに面するランドマーク、資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェのストロベリーパフェが登場する。

1872(明治5)年、文明開化が色濃く香るハイカラな街・銀座で、東洋哲学と西洋科学の融合を目指す薬学家の福原有信は、画期的な西洋調剤薬局を出雲町(現・銀座8丁目)で創業した。中国の易経「至哉坤元 萬物資生(いたれるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)=大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものはここから生まれる」から引用した「資生」の名を冠し、オリジナルの練り歯磨石けんや現在までのロングセラーとなる高等化粧水「オイデルミン」を発売するなど、化粧品を軸とする事業が注目された。1900(明治33)年には、パリ万博などの欧米視察旅行に出かけ、アメリカのドラッグストアのスタイルのソード水製造機に引きつけられた。「ぜひ日本でもやろう」と考えた福原は、資生堂薬局の一角に日本初のソーダ水とまだ希少だったアイスクリームの製造販売を行う「ソーダファウンテン」というコーナーを設けた。資生堂パーラーの前身だ。

1923(大正12)年に起きた関東大震災で起きた火災によって銀座界隈は全焼し、資生堂もバラックでの営業を余儀なくされたが、1928(昭和3)年には「資生堂アイスクリームパーラー」として本格的な西洋料理店を開業。「カリーライス」や「チッキンライス」、「ミートクロケット」などが人気を集めた。そして、第二次世界大戦を経て、昭和30年代に入るとストロベリーパフェがメニューに登場する。

「いちごを美味しく食べてもらいたい」という想いが詰められたストロベリーパフェ。余計なものは加えない。王冠のように広がるクラウンスタイルに盛られたいちごの下には、甘さを抑えていちごの風味を引き立てる生クリームがのり、食べ進むといちごの果肉ソースと、オープン以来のレシピをベースに変わらぬ味わいを守り続けるバニラアイスクリームが迎えてくれる。こってりしたスイーツを食べた感覚ではなく、いちごの甘みと酸味、瑞々しい香りを満喫できるナチュラルな味が魅力の「パーフェクト」の名にふさわしいデザートだ。

2019年3月31日まで、月替わりで希少な品種のいちごを使ったストロベリーパフェが登場する「2019年こだわりの“苺”フェア」が開催されている。

資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェ

東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル3F
TEL:03-5537-6231(予約不可)
営業時間:【火曜〜土曜】11:30〜21:00(LO 20:30)【日曜・祝日】11:30〜20:00(LO 19:30)
定休日:月曜日(祝日は営業)

https://parlour.shiseido.co.jp/

写真と文:中島良平

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