看板メニューをTシャツにします #09

麺とワンタン、もやしに揚げネギ 喜楽

名店料理2019.5.31 Fri.

名店の看板メニューでプリントTシャツを制作する連載企画第9回。東京・渋谷は百軒店で1952年に創業し、中華麺やチャーハンを求めて客が並ぶ老舗、喜楽で一番人気のメニューは「もやしワンタン麺」。

渋谷のスクランブル交差点から道玄坂を少し上り、「しぶや百軒店」を右手に曲がる。大人が集まる繁華街として開発され、現在も飲食店や風俗店が混在し、一歩裏に入るとホテル街というこのエリアで、60年を超えて人気店として喜楽は繁盛している。台湾系の初代がオープンし、現在は2代目の林氏が率いるこのお店。1階のカウンター席には黙々と麺をすする客が並んで座り、2階では餃子やザーサイをつまみにビールを飲む客と相席する一人客がチャーハンをほうばる光景などもお馴染みだ。

11時を過ぎる頃には店の前にパラパラと客が並び始め、11時半の開店を待つ。中華麺やチャーハン、餃子、ワンタンなどの人気メニューは複数あるが、一番の人気は「もやしワンタン麺(950円)」だ。意外なことに、後発のメニューだという。元々人気だった「もやし麺」と「ワンタン」をいっぺんに味わいたいという常連客のリクエストに応じて、30年ほど前にメニューに加わった。

注文した「もやしワンタン麺」。まずは麺を持ち上げてみる。ずっしりと重みのある中太麺。醤油スープにふわりと揚げネギの香りが立ち上ると、香ばしさが食欲を刺激する。7時間かけてじっくり豚と鶏を煮込んだというスープのコク。一口すすると、これは止められなさそうだ。そして、モチモチの麺にしゃきしゃきのもやし。ニンジンやニラとともにラードで炒められた甘みがスープに溶け出す。ワンタンの皮はプルプルで、スープをまとうと口の中に新たな食感と味わいが広がる。

客の反応や仕入れ状況などに応じてディテールは変え続けてきたそうだが、揚げネギの香ばしい風味やつるっとしたワンタン、ラードでシャキっと炒めたもやしは変わっていないから、人気も不動だ。懐かしいけど飽きずに食べ続けられる味。長く続く人気店の真髄を喜楽にも見た。

喜楽

東京都渋谷区道玄坂2-17-6
TEL:03-3461-2032
営業時間: 11:30〜20:30
定休日:水曜日

https://r.gnavi.co.jp/dk0r9vd20000/

写真と文:中島良平

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