SUNDAY RACE in Los Angeles issue 02
ルート66に集結したバイクレーサーたち
California2017.8.12 Sat.
アメリカに根付いたサンデー・レース・カルチャーを取り上げる第2弾。バイクを趣味とした俳優、スティーブ・マックイーンが手がけたドキュメンタリー映画『On Any Sunday』に描かれた世界が、ルート66沿いのレース会場で繰り広げられていた。
ROUTE 66 OLD SCHOOL VINTAGE SCRAMBLE
出発は朝3時。ウェスト・ハリウッドの宿から旧ルート66を走り、目的地のオロ・グランデを目指す。車で3時間ほど走り、到着したのがその日のレース会場となるThe Roy Rogers Double R Bar Ranchだ。
1930〜40年代に活躍し、“King of the Cowboys”の愛称で親しまれた西部劇俳優のロイ・ロジャースが、かつて馬の調教場として利用した壮大な土地に、コースが作られた。モハーヴェ砂漠からもほど近く、西部劇の舞台そのものを思わせる土地に1974年製より古いヴィンテージバイクが集結し、往年のスタイルでオフロード・レースが行われるのだ。前日からテントやモーターホームに泊まっている参加者がいれば、早朝に来場する人たちもいる。家族で、仲間同士で、それぞれに楽しむグループが集まり、会場全体をポジティブな空気で覆っている。
3人組で参加するのは、古くからのバイク仲間。「旧車のイベントに出ると、古きよき時代を追体験できるのが素晴らしい」「ここに集まるようなバイク好きはみんな、子どもの頃にミニバイクに乗り始め、少し大きくなると普通のバイク乗りになったような連中だ。もう俺らは60歳だけど、今でもバイクが好きだし、人生そのものだ」「14歳の頃から、親父にカリフォルニアのバレンシアという場所にあった“Indian Dunes”というバイク・パークに連れて行ってもらってた。その頃からバイクの思い出はたくさんあるよ」と、3人が口々に陽気に話してくれた。
上の写真に写るのは、前回の記事で登場したレースを主催するロルフ&タミ・グリーンヒル夫妻の息子(右端)と従兄弟たちだ。「オレは3歳か4歳の頃からバイクに乗り始めた。うちのジイちゃんはチャンピオンだったし、両親ともレースに関わっているからすごく自然なことだった。5分もバイクに乗れば、これだけのスリルと爽快感を味わえるのはバイクだけだと感じられるはずだ」。GRIZZLYとプリントされたTシャツは、仲間と経営するコーディング会社のオリジナルTで、「自分がTシャツを選ぶときは、袖がきちんとタイトでフィットするものが好きだ」と話す。
日本人の参加者もいた。ロングビーチでバイク屋を経営するゴウ・タカミネさんだ(上写真・前列左端)。「今日のレースは、1930年から40年ぐらいの、タンクシフトでギアを変えるタイプの古いハーレーが集まって走るレースです。いつも一緒に出ている仲間たちと参加しました。街で走るだけじゃなく、1日かけて地方の広いところに来てレースを楽しめるのは、アメリカならではの文化だと感じますね」
世代を超え、家族や仲間同士の週末の楽しみとして共有される“サンデー・レース”カルチャー。次回は、豪快なエンジン音をBGMに1日をドキュメントした映像をお届けする。
Southwest Vintage Committee
http://www.oldschoolscramblesracing.com写真・文:中島良平